電子契約、電子署名とは何か?

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2018年4月4日

電子契約、電子署名とは何か?

契約書は紙で作成し、当事者が捺印し合うものというのが長年わが国における契約や取引の常識でした。しかし、最近になって「電子契約」という言葉を聞くことが増えてきました。まだ導入している会社は少なくなじみがない方も多いと思います。

今回は、この電子契約がどのようなもので、どのような手順で契約を締結するのか、電子契約のメリットやデメリットはどこにあるのかなどについて解説したいと思います。

●電子契約とは?

子契約とは、電子文書をインターネット上のサービスで交換して署名することで契約を締結し、企業のサーバーや、外部のデータセンターなどに電子データを保管しておく契約の方法です。電子署名法や電子帳簿保存法といった電子契約に関する法的環境が2000年前後に整備され、インターネット技術やセキュリティやタイムスタンプといった技術的開発が進んだことで、電子契約を導入しやすい環境になってきています。

どうやって契約するの?

電子契約を締結する場合には、一般的にPDFファイル形式で作成した署名に当事者が電子署名を貼り付ける形で作成します。

電子署名の発行は、一定の設備や技術を備えていると国から認定された認定認証事業者(認定認証局)のみがおこなうことができます。認定認証局の業者一覧は経済産業省のホームページに掲載されており、そこから確認することができます。

電子署名法の第3条は、「電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名が行なわれているときは、真正に成立したものと推定する。」と規定し、この電子証明が貼り付けられた電子契約書は、本人の署名捺印がある契約書と同様の証拠としての証明力があることを認めているのです。

電子契約のメリット

従来型の紙媒体による契約書を取り交わすことと比べ、電子契約には一般的に以下のようなメリットがあるとされています。

・コスト削減になる

従来の紙の契約文書は課税文書となりますが、契約を電子文書で取り交わす場合は課税対象とならず、印紙税を大幅に削減できます。

また書類郵送が不要となりますので切手代や封筒代など郵送に関わる費用を大幅に削減できます。

・コンプライアンスが強化できる

電子契約では、電子文書をサーバーに保管します。サーバーによるバックアップを多重化したり、セキュリティを高めることにより、紛失、劣化、毀損リスクを大幅に低減できるだけでなく、改ざん等のリスクもほぼゼロになります。

また、日付、契約先、金額などの確認、閲覧も簡単になるので税務調査、会計監査などにも迅速かつ正確に対応できます。

・業務のスピードアップが図れる

紙の契約文書では、作成した契約文書を郵送したり、担当者が持参したりなど、手間がどうしてもかかります。電子契約では、契約書のやりとりはインターネット上で行われるため、これらの手間が省けます。単に郵送費等の経費だけでなく、電子ファイルをアップロードするだけなので、大幅な時間短縮にもつながります。

なぜあまり普及しないのか?

このように、電子契約には多くのメリットがあります。そして、電子契約サービスを提供する企業も多数存在します。それにもかかわらず、法律の整備から20年近くが経過したいまでも、電子契約がなぜメジャーにならないのでしょうか。

その一番大きな理由は、電子署名やサーバー保管のサービスを受けるためにそれなりのコストがかかることではないでしょうか。収入印紙を貼らなくて済むコスト削減効果を帳消しにしてしまいかねない費用がかかる上、電子署名取得についての社内の教育、取引先の教育などが導入への高いハードルになっていると思われます。

最近では、電子署名を使わない電子契約を提供するサービス(サービス提供者が契約書の真正な成立を証明する)も出始めています。

皆さんの会社でも、電子契約導入を検討されてみてはいかがでしょうか。